奥四万十市町情報ブログ

中土佐町2022/05/28

こだわり満載 久礼 カツオのタタキの世界

高知県の「カツオのたたき」が文化庁「100年フード」に認定されるなど、昔から高知県を代表する「カツオのタタキ」。なかでも漁師町・中土佐町久礼のお店はそれぞれこだわりがあります。
先日RKC高知放送「こうちeye」の番組内で、「知られざるカツオのタタキの世界」という特集が放送されましたが、私も久礼大正町市場のお店のそれぞれのこだわりを知りたくて、RKC高知放送さんの取材に同行させてもらいました。

 

 

【田中鮮魚店のタタキ】

久礼大正町市場の老舗、田中鮮魚店のタタキのこだわりとは?

田中鮮魚店・田中隆博さんの焼き方は、カツオに塩を振ったら空気を含ませた藁に火をつけ、火を大きくしてから直接火にあてる「焦がし焼き」。先代からずっとこの焼き方だそうです。
ポイントは火力。強い火力で表面だけ1~2ミリの厚さを焦がして香ばしさをつけ、中はきれいな刺身のまま残します。選び抜かれたお刺身のままでも美味しいカツオを、焼くことで一層美味しいものに変えるため、カツオの大きさや時期によっても焼き方を変える、そこに気を遣うそうです。

田中さんにとってのタタキの焦がし焼きとは「生活の中で残してきたものを自慢できるのがカツオ文化の大きな特徴。みなさんに美味しいと唸らせることが喜びであり、楽しみ。」と、語ってくれました。
田中鮮魚店ホームページ→こちら

 

 

 

【山本鮮魚店のタタキ】

元大工から鮮魚店に転身した山本鮮魚店・山本忠宣さんのタタキのこだわりとは?

山本鮮魚店は、びっくるするくらい大量の藁を使用し、煙で燻して香りをつける「燻し(いぶし)焼き」
煙をカツオに纏わせて香りをつけ、最後に強い火力で一気に焼きます。
使用する藁にもこだわっていて、久礼の米農家さんに頼んで、特別に藁焼きに合う長い稲を育ててもらい、米の収穫時期にはスタッフ総出で刈り取りを行っています。

見よ、この黄金色に輝くタタキ!!山本鮮魚店の燻し焼きならではの美しい焼き色。
タタキが届いたお客さんから「袋を開けた瞬間に藁の香りがする」という声をいただくそうで、毎日県内外からたくさんの注文があります。

山本さんにとってのタタキの燻し焼きとは「この店の命。こだわりを捨てず、ずっとやり続ける」と語ってくれました。
山本鮮魚店ホームページ→こちら

 

 

 

 

【とみぃの台所のタタキ】

元カツオ一本釣り漁師、とみぃの台所・富田明さんのタタキのこだわりとは?

店主の富田さんは、25年にわたってカツオの一本釣り漁師として長い船上生活を送っていました。
店内にはカツオの一本釣りに実際に使用していた竿や、漁師時代の写真などが展示されています。
「とみぃの台所」では富田さんが船で食べていた漁師めしがメニューに多く並びます。
今回はなんと富田さんが、家庭でもできる美味しい「炙り焼きタタキ」の作り方を教えてくれるそうで、これは必見です!

挑戦するのは「NO KATSUO NO LIFE」のカツオTシャツを着てきてくれたRKC高知放送局・髙橋アナウンサー。

 

〈家庭でできる美味しい炙り焼きタタキの作り方〉
①カツオは切ってみないと良いカツオか分からないので、プロが目利きして切り分けて売られている柵を選びましょう。切り身は腹節がおすすめ。

②「血合い」は臭みの原因になるので取り除いてください。

③写真のような網があれば網の上(なければフライパンでもOK)に、カツオの皮を下にして置き、軽く塩を振ります。

④ガスバーナーで中くらいの火力で慌てずゆっくり炙ります。

⑤身の表面に焼き目がついたら、裏返して皮の部分は強めに炙っていきます。バーナーで焼くことで脂が出て、この脂が美味しい!

これならおうちで気軽にできますね。

できたらすぐ切って、素材の味が一番わかる“ぬくぬく”の状態で食べるのがカツオ漁師の食べ方だそうです。
髙橋アナ、上手に焼けてます!
富田さんにとってタタキとは「カツオの一本釣り漁がどれだけ労力がいるか大事さが分かっているので、手が抜けない料理。自分が漁師時代に経験した料理をお店でお客さんに食べてもらいたいです。」と、元漁師ならではの思いが伝わってきました。
とみぃの台所Instagram→こちら

 

 

久礼 カツオのタタキは本当に奥深かった!!
今回取材させていただいたお店はひとくちに「タタキ」といっても、「焦がし焼き」「燻し焼き」「炙り焼き」とそれぞれこだわりの焼き方がありました。うーん深い!
久礼に来たら、いろいろなお店のタタキを食べ比べてみるのも楽しいですね。
久礼大正町市場ホームページ→こちら

共通点もありました!
どのお店も共通しているのは、カツオの目利きのプロがいること。
久礼はカツオを刺身で食べる人が多いので、味に「にごり」があるとすぐにばれてしまうそうです。
そんなカツオに関して全国トップレベルの舌を持つお客さんに鍛えられて、お店の人は成長していくのだそう。
選びぬかれたエリートのカツオを、焼きすぎず外側だけ薄く焼き、中は新鮮なお刺身状態をキープしているのが久礼の美味しいタタキの特徴です。
鰹乃國・中土佐町に住む私たちにとって身近なソウルフード「カツオのタタキ」は、漁師さんや鮮魚店、食堂などのみなさんの努力で受け継がれています。これからもカツオの一本釣り漁とともに、後世に残したい久礼の食文化です。