新国立競技場をデザインした世界的にも有名な建築家・隈研吾氏。
木々の姿や地域の風景からインスパイアされたデザインは独創的でありながら使う人・暮らす人の目線に立ったシンプルかつ心地の良い建築となっています。その隈氏が梼原町で手がけた6つの建築物を探訪していきましょう。
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四季折々の景観の中に溶け込む「雲の上のホテル・レストラン」
(R3年9月まで営業。R9夏リニューアルオープン予定)
隈研吾氏の建築物を探訪するにあたり、先ず訪ねたい場所が梼原町で最初に手がけた建築物、「雲の上のホテル・レストラン」です。雲の上の町とも表される梼原町らしく雲から着想を得たサーフボード型の屋根が非常に特徴的で、刻一刻と移り行く空を映すために設置された半月状の池など、四季折々表情を変えていく景観の中にホテルが自然と溶け込むように設計されています。
柔らかな木の風合いが活かされたシンプルで洗練された内装は、ゆったりと上質な食事や宿泊の時間を過ごすことができます。
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木漏れ日を落とす枝葉のような「雲の上のギャラリー(隈研吾の小さなミュージアム)」
日の光に向かってせり出す枝葉のようなデザインが印象的な「雲の上のギャラリー」。
「森に溶け込ませたい」という思いをさまざまな伝統的日本建築を応用することで表現し、木材も梼原産を使用、地域の景観になじみつつ世界的にも類を見ない架構形式の建物となっています。
木々の重なりが作り出す木漏れ日のような陰影や整然としつつも温かみのある造形が木材の可能性を感じさせる独創的な建築物と言えるでしょう。
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熟思された機能性とデザイン性が共存する「梼原町総合庁舎」
「梼原町総合庁舎」は梼原町産の木材をふんだんに用いた外壁と十分な光を取り入れるために不規則に配置された窓ガラスがおりなす、機能性とデザイン性が共存した建築物です。
その共存は室内にも踏襲されており、開放的なホールには伝統芸能である神楽の舞台にもなる移動施設がある他、町の機能と共に入居している銀行、JA、商工会の利用がしやすくなっています。防災設備や雨雪の多い環境ゆえの空調の配慮など、細部に至るまで総合的に熟思された町の中心に相応しい建築物となっています。
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茅の外観が作り出す街の中の森。まちの駅「ゆすはら」
梼原町の特産物販売とホテルが融合した施設、まちの駅「ゆすはら」を初めて見る人は街中に突如として現れる茅葺の外観に思わず目が奪われることでしょう。
まちの中の森というコンセプトのもと、梼原町の伝統的な茅葺屋根から着想を得て設計された外壁のインパクトもさることながら、屋内にも樹木を思わせるような杉丸太の柱がそびえたち、隈氏の考える森の姿を感じることができます。また、客室も木に包まれているかのような温かみのある部屋となっており、日々の喧騒を忘れられるくつろぎの空間となっています。
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梼原産の木材を活かした学びと憩いの場「梼原町立図書館(雲の上の図書館)」
人と自然の共存というテーマで作られたこの図書館は裸足で滞在することを想定し、寝転びたくなるほど心地の良い床材やソファーなどを配するほか、カフェやボルダリング施設も併設された、まさに世代を問わず集う「学びと憩いの場」となっています。
隈氏らしい周囲の自然に溶け込む洗練された外観もさることながら、この図書館の特徴の一つである格子状に入り乱れる木材の天井は圧巻の一言。館内へ一歩足を踏み入れた瞬間に広がる光景に、まるで木々が生い茂る森を見上げるような非現実的な感覚を味わえることでしょう。
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自然素材に包まれて暮らす。地域住民の願いを叶えるまちの家「YURURIゆすはら」
住民の願いから実現されたこの建築物は、福祉施設として複合的な機能を備えています。室内外にふんだんに使用された梼原町産の杉材や手漉き和紙などの素材使いに、隈氏ならではのこだわりが随所に感じられます。
長く滞在することが想定された室内には各部屋毎に開放的な窓から梼原の自然が一望でき、この施設を利用する全ての人に快適な空間づくりがされています。
洗練されつつ素材の温かみや住み慣れた町の光景に癒される。まさに自然に包まれて暮らす、豊かな時間が流れる建築物といえるでしょう。